慶応義塾大学 通信教育課程(以下、慶應通信)はどのような特徴があるのでしょうか?
今回の記事もテキストで学ぶ専門教育課程を対象に、慶應通信と他の大学の通信課程を比較します。対象は私が入学を目指している史学に限定します。 第3回は創価大学 通信教育部(以下、創価通信)を比較対象にしました。 両大学とも情報ソースは各大学のWebサイトです。慶應通信は「2021年度テキスト開講科目一覧(予定)」、創価通信は「哲学・歴史学メジャー科目 開講科目一覧」から情報を拾っています。
なお、創価通信のテキスト科目の中で哲学に属すると考えられる科目は今回の比較対象外としました。そのため、比較は歴史学限定です。それではさっそく見ていきましょう。
過去の慶應通信と他大学の比較記事は下記リンクを参照ください。
https://kirobear.com/299/ (vs 法政大学 通信教育部)
https://kirobear.com/319/ (vs 日本大学 通信教育部)
日本史関係を比較する
比較はいつもの通り、「日本史」、「東洋史」、「西洋史」、「その他」に分けて行います。さっそく「日本史」から見て参りましょう。両大学の専門教育科目(テキストで学ぶもの限定)で学べる日本史関係の科目は下記の通りです。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 創価通信 | |
日本史概論 (通史) | ● | |
比較文化史概論 (日本の古典芸能) | ● | |
日本史概説Ⅰ (古代~中世全般) | ● | |
日本古代・中世史概説 (源頼朝) | ● | |
日本史特殊Ⅰ (法と政治の日本古代史) | ● | |
日本史特殊Ⅱ (キリシタン史) | ● | |
日本史特殊Ⅳ (江戸時代) | ● | |
日本近世・近現代概説 (江戸~現代) | ● | |
古文書学 | ● |
慶應通信6科目に対して創価通信は3科目です。創価通信はスクーリング(面接授業)を重視しており、「歴史学への招待」、「歴史学概論」といった歴史学の基礎知識習得はスクーリングのみです。創価通信のテキスト科目は日本の古典芸能を理解する「比較文化史概論」、源頼朝に焦点をあてた「日本古代・中世史概説」と、かなり学問対象を絞った印象です。
東洋史関係を比較する
続いて「東洋史」を見ます。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 創価通信 | |
東洋史概説Ⅰ (古代~中世の東方ユーラシア) | ● | |
東洋史概説Ⅱ (近世~現代の東方ユーラシア) | ● | |
東洋史概説Ⅰ (中国・唐) | ● | |
東洋史概説Ⅱ (近現代中国史) | ● | |
東洋文化史 (中国前近代) | ● | |
東洋史特殊 (トルコ系諸民族史) | ● |
慶應通信、創価通信ともに3科目づつでした。創価通信は中国史のみとは言え、特に「東洋史概説Ⅰ」では中国が朝鮮半島や日本などの周辺諸国に与えた影響も対象にしています。慶應通信の「東洋史特殊」は、トルコ系諸民族史は中央アジア、アゼルバイジャイン、トルコにおける民族主義、ナショナリズムの発展を取り上げています。
西洋史関係を比較する
3つ目は「西洋史」です。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 創価通信 | |
西洋史概説Ⅰ (ローマ~16世紀中) | ● | |
西洋史概説Ⅱ (16~20世紀) | ● | |
西洋史特殊Ⅰ (古代オリエント史) | ● | |
西洋史特殊Ⅱ (近世ヨーロッパの宗教・政治・社会) | ● | |
西洋史特殊Ⅲ (近代イギリス国家の成立) | ● | |
オリエント考古学 (聖書) | ● |
慶應通信が6科目、対してなんと創価通信が対象なしです。創価通信は「西洋史概説Ⅰ(古代~15-16世紀)」、「西洋史概説Ⅱ(16世紀~EU統合)」ともスクーリング科目になっています。
その他の科目を比較する
最後に日本史、東洋史、西洋史以外の科目を確認します。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 創価通信 | |
史学概論 | ● | |
世界史概論 (通史) | ● | |
地理学Ⅰ (トランスナショナル化) | ● | |
地理学Ⅱ (地誌学) | ● | |
人文地理学 | ● | |
考古学概論 | ● |
慶應通信が5科目、創価通信は1科目のみです。慶應通信は地理学、創価通信は考古学を対象にしている点が大きな特徴です。
まとめ
合計で慶應通信は20科目、創価通信は7科目です。創価通信は「哲学・歴史学」と、歴史学のみならず、哲学も専攻対象としています。創価通信のテキスト科目は歴史学の7科目に加えて哲学が8科目あり、合計15科目です。慶應通信は上に挙げた20科目全てが史学です。テキストを使って自分のペースでコツコツと歴史を学びたいと考えた場合、慶應通信の方が選択肢が多いと言えます。
何かの参考になりましたら幸いです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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