慶応義塾大学 通信教育課程(以下、慶應通信)はどのような特徴があるのでしょうか?
今回の記事もテキストで学ぶ専門教育課程を対象に、慶應通信と他校の通信教育部を比較します。比較対象は私が入学を目指している史学に限定します。 第4回は聖徳大学 通信教育部(以下、聖徳通信)です。 両大学とも情報ソースは各大学のWebサイトです。慶應通信は「2021年度テキスト開講科目一覧(予定)」、聖徳通信は「令和3年度シラバス・レポート課題集」から情報を拾っています。
関東にある大学で史学を学べる大学は私が調べた限り、慶應義塾、法政、日本、創価、聖徳の5校です。法政、日本、創価の各大学との比較は過去に記事にしています。もしよければそちらの記事もご覧ください。それでは関東圏で史学を学べる大学の通信教育部として最後となる聖徳大学の特徴をさっそく見ていきましょう。
過去の慶應通信と他大学の比較記事は下記リンクよりご覧ください。
https://kirobear.com/299 (vs 法政大学 通信教育部)
https://kirobear.com/319/ (vs 日本大学 通信教育部)
https://kirobear.com/350/ (vs 創価大学 通信教育部)
日本史関係を比較する
比較は「日本史」、「東洋史」、「西洋史」、「その他」に分けて行います。さっそく「日本史」から見て参りましょう。両大学の専門教育科目(テキストで学ぶもの限定)で学べる日本史関係の科目は下記の通りです。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 聖徳通信 | |
日本史概論 (通史) | ● | |
日本史概説Ⅰ (古代~中世) | ● | ● |
日本考古学Ⅰ (考古学概論) | ● | |
日本考古学Ⅱ (古墳時代) | ● | |
日本古代史Ⅰ (律令国家の成立) | ● | |
日本古代史Ⅱ (日本の誕生) | ● | |
日本史特殊Ⅰ (法と政治の日本古代史) | ● | |
日本中世史Ⅰ (戦国時代) | ● | |
日本中世史Ⅱ (織豊時代) | ● | |
日本史特殊Ⅱ (キリシタン史) | ● | |
日本史特殊Ⅳ (江戸時代) | ● | |
日本近世史Ⅰ (江戸幕府政治機構の形成) | ● | |
日本近世史Ⅱ (保科正之) | ● | |
日本近現代史Ⅰ (ペリー来航~大正デモクラシー) | ● | |
日本近現代史Ⅱ (1920年代半ば~1970年代半ば) | ● | |
日本史概説Ⅱ (満州事変~終戦) | ● | |
歴史文化論Ⅰ (近代~現代の外交政策) | ● | |
歴史文化論Ⅱ (平安王朝の成立) | ● | |
歴史文化論Ⅲ (日本美術の特質) | ● | |
歴史文化特論Ⅰ (幕末~近代) | ● | |
歴史文化特論Ⅱ (定住生活の開始と定着) | ● | |
古文書学 | ● | |
日本美術史Ⅰ (江戸~明治) | ● | |
日本美術史Ⅱ (大正~昭和) | ● |
慶應通信が6科目、対して聖徳通信は19科目でした。聖徳通信の充実ぶりが際立ちます。一方で聖徳通信は細かく見れるため、かえって平安初期から戦国時代まで一気にジャンプすることも分かります。美術史関係が3科目(歴史文化論Ⅲ、日本美術史Ⅰ&Ⅱ)用意されている点も聖徳通信の大きな特徴と言えそうです。
東洋史関係を比較する
続いて「東洋史」を見ます。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 聖徳通信 | |
東洋史概説 (中国、インド、イスラム) | ● | |
東洋史概説Ⅰ (中国・唐) | ● | |
東洋史概説Ⅱ (近現代中国史) | ● | |
東洋史特殊 (トルコ系諸民族史) | ● |
慶應通信が3科目、聖徳通信は1科目でした。聖徳通信は随分日本史関係に注力しており、東洋史関係は弱そうです。慶應通信のトルコ系諸民族史は中央アジア、アゼルバイジャイン、トルコにおける民族主義、ナショナリズムの発展を取り上げています。
西洋史関係を比較する
3つ目は「西洋史」です。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 聖徳通信 | |
西洋史概説Ⅰ (ローマ~16世紀中) | ● | |
西洋史概説Ⅱ (16~20世紀) | ● | |
西洋史概説 (17~20世紀) | ● | |
西洋史特殊Ⅰ (古代オリエント史) | ● | |
西洋史特殊Ⅱ (近世ヨーロッパの宗教・政治・社会) | ● | |
イギリスの歴史Ⅰ (先史~名誉革命) | ● | |
イギリスの歴史Ⅱ (国家意識の形成) | ● | |
西洋史特殊Ⅲ (近代イギリス国家の成立) | ● | |
オリエント考古学 (聖書) | ● | |
アメリカの歴史Ⅰ (建国以前~現代) | ● | |
アメリカの歴史Ⅱ (独立以後~現代) | ● |
慶應通信が6科目、聖徳通信が5科目でした。慶應通信がローマ時代から現代まで俯瞰できるのに対し、聖徳通信は17世紀以降に集中しています。また、イギリスとアメリカの2国を掘り下げて学ぶことができる点も聖徳通信の大きな特徴です。
その他の科目を比較する
最後に日本史、東洋史、西洋史以外の科目を確認します。
(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 聖徳通信 | |
史学概論 | ● | |
世界史概論 (通史) | ● | |
地理学Ⅰ (世界の系統地理、日本地誌) | ● | |
地理学Ⅰ (トランスナショナル化) | ● | |
地理学Ⅱ (地誌学、世界地誌) | ● | ● |
人文地理学 | ● |
慶應通信が5科目、聖徳通信が2科目です。慶應通信が史学とは何か?、という概論を用意しているのに対し、聖徳通信は地理学のみです。
まとめ
全科目を合わせると慶應通信が20科目、聖徳通信27科目です。聖徳通信は27科目中19科目と7割が日本史関係です。史学の中でも日本史を学びたい、と決めているなら聖徳通信へ進学するのも良い選択と言えそうです。私自身は大学で学ぶならすぐに専攻を決めず、最初は幅広く可能性を探りたいと考えるので日本史、東洋史、西洋史と幅広く学ぶことができる慶應通信が良いと考えています。
何かの参考になりましたら幸いです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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