K-18.慶應通信入試、合格の考察③

K.慶応義塾大学 通信教育課程

 慶應義塾大学 通信教育課程(以下、「慶應通信」)卒業を目指し、その学びを書きとめる当ブログ、今回の記事は合格した出願書類の考察です。

 以前は合格論文を全文掲載していました。しかし、「公正な評価の妨げになる」などの理由から、大学側が選考書類のインターネット公表を禁止していることを知りましたので、現在は公表を控えています。本記事は不合格論文の全文を掲載していた過去記事の改訂版です。

 2021年10月入学(第75期生)を目指して慶應義塾大学 通信教育課程 文学部 第2類(史学)に出願しました。書類選考の結果は「合格」。慶應通信に合格するためには以下の3つの論文をクリアする必要があります。本記事では「3)なぜ慶應義塾大学の通信課程を選んだのか?」を書きとめて参ります。

【慶應義塾大学 通信教育課程 入学出願時に作成する3つの論文】

3つの改善点

 さて、私は合格する半年前、2021年4月入学の選抜では不合格となっています。不合格だった2021年4月から、合格した同年10月まで、半年の間に改善した点は以下の3つです。

  • 改善点① 問題意識・目的をもって書籍を選ぶ
  • 改善点② 徹底して書籍を読み込む
  • 改善点③ 自分の意見を書く

 順番に書きとめてまいります。

改善点① 問題意識・目的をもって書籍を選ぶ

 不合格論文を作成した際、「そこに課題があるから」と言う理由で大した考えもなく手持ちの書籍から一冊を選びました。そして読書後、印象に残ったことをそのまま書きました。

 不合格の通知をもらって考え直した結果、(これでは歴史を学びたいという意欲が大学に伝わらない)と強く感じていました。読み手に、(ちょっと歴史をかじった結果、興味がわいたので勉強させてくださいというレベルの受験生だな)という程度の認識をされても当然だと考えたのです(そしてそれは今思い返せばその通りでした)。

 合格論文を作成した時、まず考えたことは(自分はなぜ歴史学を学ぼうと強く思っているのだろう?)ということでした。

 人生でおそらく2000冊以上は読書してきました。小説、純文学、ビジネス書、エッセイ、、、数あるジャンルの中でいつも面白く感じる部分は過去に関する新しい見方を発見した時です。

 好きなゲームはコーエーテクノゲームスさんの歴史シミュレーションシリーズです(ロールプレイングゲームも大好きです)

 旅行中、心惹かれる場所はいつも遺跡です。ショッピング、レジャー施設、アクティビティは苦手です。

 いつもいつも心のどこかに引っかかり続けている 「歴史」 というキーワード。これは一体、私にとって何なのだろう?

 そう考えている内に、(大学で歴史を学ぶとはどういう行為のことだ?それは私の心の引っ掛かりを解消してくれるのか?)と言う疑問に行きつきました。夢中で慶應通信Webサイトに掲載されているシラバス(講義要綱)の内、史学関係の科目に目を通します。

 すると、ありました!歴史学とは何ぞや?、それを考える科目が。

 「史学概論」

 さらに史学概論の講義要綱を読み進めると参考文献を丁寧に記載してくれています。その中に一つ、いかにも私の疑問に答えてくれそうな書物がありました。

 『歴史とは何か』 E. H. カー著/清水幾太郎訳、岩波新書

Amazon.co.jp

 「歴史ってそもそもどういうものなんですか?」という私の問いへの回答を求め、『歴史とは何か』を読み始めます。

改善点② 徹底して書籍を読み込む

 不合格論文作成時の読書量は以下の通りでした。

  • 1回目、まず読み通す
  • 2回目、さらっと読み直してどこに何が書いてあるか程度を記憶する
  • 3回目~、論文を書きながら本の内容を思い出しつつ必要な箇所を拾い読み

 対して合格論文作成時の読書量は以下の通りです。

  • 1回目、まず読み通す
  • 2回目、固有名詞をノートに整理しながら読み通す
  • 3回目、もう一回読み通す
  • 4回目、章毎に作者の言いたいことをノートにメモしながら読み通す
  • 5回目、自分の問いに対するヒントが記載されている箇所を集中的に読む
  • 6回目、さらっと読み通し、自分にとっての重要箇所の見落としがないか確認する
  • 7回目、自分の問いに対するヒントを要約しながら読む
  • 8回目~、論文課題作成の過程で必要な箇所を必要なだけ読み返す

 恥ずかしながら読書歴(おそらくは)約40年、同じ本をこれだけ読み込んだのは初めてです。

  『歴史とは何か』はたくさんの人名が出てきます。著名な歴史学者が大半ですが、これが当時の私にはまったくなじみのない名前だったので、最初の3回は「誰がどんな主張をしていて、筆者はそれに賛成しているのか、反対なのか」を整理するだけで大変でした。

 一通りの人名を整理した後の4回目の読書、ここでようやく自分の問いと向き合いながら読み進めることができるようになりました。1回目の読書から論文完成まで、だいたい3ヶ月くらいをかけました。短期間に集中して同じ本を何度も読んで理解を深めた経験は、合否結果はともかく非常に得難い経験をさせてもらったと満足する体験でした。

 また、大事なことなので繰り返します。「目的や問題意識をもって読書に取り組む」ということが読書内容を身につけ、自分がいかに深く考察するかという点において、どれだけ大切かということも実感しました。

改善点③ 自分の意見を書く

 不合格論文は自分の視点から論評しておらず、自分勝手な感想に終始していました。読書時に(これを知りたい!)といった問題意識を持たないままに漫然と読み進めていたので自分の視点を持ち辛かったことが敗因です。

 対して合格論文の方は、書籍選定の過程で「歴史を学ぶとはどういう営みなんだ?」という問題意識を設定していました。その問いに関する著者の主張をまずは複数回の読書を経てつかみます。その後は、著者の主張に対する賛成/反対といった私の意思を自覚し、あとは(なぜそう思ったのか?)という根拠を整理しました。この流れをそのまま論文に記述しました。

 しかし、合格論文も「分かりにくい」という大きな不満もありました。第一案を作成した際、分量は既定の720字の3倍近い分量でした。そこから必要な情報だけに絞って絞って720字にまとめました結果、要約というよりも説明を端折った箇所があり、わかりにくくなってしまったのです。

 何度も推敲しましたけれども、結局分かりにくさを自分でも完全には解消できていないと感じたまま、〆切日が近づいたので打ち切りました。しかし、(分かり易くしよう)という動機をもって何度も文章を書き直す過程で、自分の考えをより整理できた、という大きな収穫もありました。メリット

 卒業までに取得が必要な単位 … 残り84(入学以来半年、いまだ1つもレポート課題をクリアできず(泣))

 何かの参考になれば幸いです。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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