私は慶応義塾大学 通信教育課程(以下、慶應通信)への 2021年10月入学を目指して 願書を提出済です。そのため、9月18日現在は合否結果待ちです。慶應通信に入学するためには志望理由書という3つの論文を書かなければいけません。3つの内の一つに「なぜ慶応義塾大学の通信教育課程を選んだのか述べなさい(150字以内)」という課題があります。他の2つの課題論文は720字以内です。したがいましてこの課題だけ極端に文字数が少ないです。しかしながら当然のこと、見落としがちだからと言って手を抜くわけにはいきません。
今回の記事はテキストで学ぶ専門教育課程を対象に、通信制大学2校を比較します。なお、対象は私が入学を目指している史学に限定します。 初回は法政大学 通信教育部(以下、法政通信)を比較対象にしました。 両大学とも情報ソースは各大学のWebサイトです。。慶應通信は「2021年度テキスト開講科目一覧(予定)」、法政通信は「Webシラバス(講義概要)」から情報を拾っています。それではさっそく見ていきましょう。
日本史関係を比較する
比較は「日本史」、「東洋史」、「西洋史」、「その他」に分けて行います。ではまず「日本史」から見ましょう。両大学の専門教育科目(テキストで学ぶもの限定)で学べる日本史関係の科目は下記の通りです。
(記号の意味 ●=選択自由、◎=必須、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 法政通信 | |
日本史概論 (通史) | ● | ◎ |
日本考古学 | ● | |
日本史概説Ⅰ (古代~中世) | ● | ● |
日本史特殊Ⅰ (法と政治の日本古代史) | ● | |
日本中世史 | ● | |
日本史特殊Ⅱ (キリシタン史) | ● | |
日本史特殊Ⅳ (江戸時代) | ● | |
日本近代史 | ● | |
古文書学 | ● | ● |
日本史特講 (日本思想史) | ● | |
日本史特講 (日本仏教史) | ● | |
日本法制史 | ● | |
日本史特講 (地方史学) | ● | |
日本史特講 (地域社会史) | ● | |
日本美術史 | ● | |
日本史特講 (日本科学史) | ● | |
経済史B (江戸初期~現代日本) | ● |
日本史関係の科目は慶應通信が6科目に対し、法政通信は14科目と2倍以上の選択肢があります。法政通信が概論を必須科目とし、その上に日本仏教史や地域社会史などの専門科目を自由に選択できる一方、慶應通信は初めから日本史と言えどもやや偏った分野しか学ぶことが出来ない印象です。
東洋史関係を比較する
続いて「東洋史」を見てみます。
(記号の意味 ●=選択自由、◎=必須、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 法政通信 | |
東洋史概説 | ◎ | |
東洋史概説Ⅰ (中国・唐) | ● | |
東洋史概説Ⅱ (近現代中国史) | ● | |
東洋史特講 (中国近世史) | ● | |
東洋史特講 (中国現代史) | ● | |
東洋史特殊 (トルコ系諸民族史) | ● | |
東洋史特講 (中国思想史) | ● | |
東洋史特講 (東南アジア史) | ● | |
東洋美術史 | ● | |
東洋史特講 (中国経済史) | ● | |
日本文芸研究特講・漢文 | ● |
東洋史関係の科目は慶應通信が3科目に対し、法政通信は8科目です。日本史関係に続き、東洋史関係も法政通信は慶應通信の2倍以上の科目数です。傾向は日本史と同じです。東洋史も幅広く学ぶことができるのは慶應通信よりも法政通信と言えそうです。
西洋史関係を比較する
3つ目は「西洋史」です。
(記号の意味 ●=選択自由、◎=必須、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 法政通信 | |
西洋史概説Ⅰ (ローマ~16世紀中) | ● | |
西洋史概説Ⅱ (16~20世紀) | ● | |
西洋史概説 | ◎ | |
西洋史特殊Ⅰ (古代オリエント史) | ● | |
西洋史特殊Ⅱ (近世ヨーロッパの宗教・政治・社会) | ● | |
西洋史特殊Ⅲ (近代イギリス国家の成立) | ● | |
オリエント考古学 (聖書) | ● | |
経済史A (市場経済概観) | ● | |
西洋史特講 (西洋哲学史) | ● | |
西洋史特講 (ロシア史Ⅰ) | ● | |
西洋史特講 (ロシア史) | ● | |
西洋史特講 (アメリカ史) | ● |
西洋史関係の科目は慶應通信が6科目に対し、法政通信も6科目と拮抗しています。西洋史を学びたい場合、 古代オリエントやイギリスは慶應通信、ロシアとアメリカを学びたい場合は法政通信、をそれぞれ選択すると良さそうです。
その他の科目を比較する
最後に「その他」を見ます。
(記号の意味 ●=選択自由、◎=必須、空欄=対象科目なし)
慶應通信 | 法政通信 | |
史学概論 | ● | ◎ |
世界史概論 (通史) | ● | |
地理学Ⅰ (トランスナショナル化) | ● | |
地理学Ⅱ (地誌学) | ● | |
人文地理学 | ● | |
文化地理学 | ● | |
経済地理学 | ● | |
史学演習1~4 | ● | |
総合特講 | ● | |
歴史資料学1~6 | ● |
慶應通信が5科目、法政通信が6科目です。法政通信の「史学演習」、「総合特講」、「歴史資料学」はシラバスを見つけられなかったために詳細は分かりませんでした。また、私が地理学に疎いために慶應通信と法政通信で学べる地理学の違いも分かりませんでした。
まとめ
合計で慶應通信は20科目、法政通信は34科目です。専門教育課程だけを比較しますと、日本史と東洋史を学びたい場合は迷わず法政通信を選択、西洋史を学びたい場合は個人の好みで慶應通信と法政通信を選べばよい、と言えそうです。
一方で記載していませんけれども、慶應通信は哲学や文学の専門教育課程を履修できる点が大きな魅力です。歴史学は(歴史学に限らずどの学問もそうでしょうけれども)個人の価値観を幅広く磨く必要があると私は考えています。そのため、私は慶應通信を志望しています。一方で史学だけをがっつりと広く深く学びたい方は慶應通信よりも法政通信の方が向いていると言えそうです。
何かの参考になりましたら幸いです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。
コメント