K-10.通信制大学のテキスト講座比較(史学)、慶應通信vs日大通信

K.慶応義塾大学 通信教育課程

 慶応義塾大学 通信教育課程(以下、慶應通信)はどのような特徴があるのでしょうか?

 今回の記事もテキストで学ぶ専門教育課程を対象に、通信制大学2校を比較します。対象は私が入学を目指している史学に限定します。 第2回は日本大学 通信教育部(以下、日大通信)を比較対象にしました。 両大学とも情報ソースは各大学のWebサイトです。慶應通信は「2021年度テキスト開講科目一覧(予定)」、日大通信は「令和3年度教材要綱」から情報を拾っています。なお、日大通信の情報は全学部共通のものです。明確にどの科目がどの専攻の専門教育課程に属するのか分かりませんでした。(おそらく文理学部 史学専攻の専門教育課程はこれだろう)と予測して本記事を作成しています。日大通信のテキストで学ぶ専門教育課程は本記事の通りですと少し科目が少ないように思います。間違っている点はご指摘いただけると嬉しいです。それではさっそく見ていきましょう。

 法政大学 通信教育部と慶應通信の比較記事は下記リンクを参照ください。

   https://kirobear.com/299

日本史関係を比較する

 比較は「日本史」、「東洋史」、「西洋史」、「その他」に分けて行います。さっそく「日本史」から見て参りましょう。両大学の専門教育科目(テキストで学ぶもの限定)で学べる日本史関係の科目は下記の通りです。

(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)

慶應通信日大通信
日本史概論
(通史)
日本史入門
日本史概説Ⅰ
(古代~中世)
日本史特殊Ⅰ
(法と政治の日本古代史)
日本史特殊Ⅱ
(キリシタン史)
日本史特殊Ⅳ
(江戸時代)
古文書学
日本史特講Ⅰ
(論文集)
日本史特講Ⅱ
(近世史)

 慶應通信が6科目、日大通信が5科目でした。専門科目とは言え日大通信は特定テーマの深堀よりは通史を重視している印象です。日大通信の「日本史特講Ⅰ」のテキストは論文12本から構成されているようです。かなり難解な内容のようですので取り組み甲斐があるように思います。

東洋史関係を比較する

 続いて「東洋史」を見ます。

(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)

慶應通信日大通信
東洋史概説
(中国の歴史)
東洋史概説Ⅰ
(中国・唐)
東洋史概説Ⅱ
(近現代中国史)
東洋史特講Ⅰ
(宋~近代)
東洋史特講Ⅱ
(孫文)
東洋史特殊
(トルコ系諸民族史)

  慶應通信、日大通信ともに3科目づつでした。日大通信は「東洋史」とは言え中国史のみ、一方の慶應通信は中国史の他にトルコ系諸民族史 (※)がある点が特徴と言えそうです。

 ※トルコ系諸民族史は中央アジア、アゼルバイジャイン、トルコにおける民族主義、ナショナリズムの発展を取り上げています。

西洋史関係を比較する

 3つ目は「西洋史」です。

(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)

慶應通信日大通信
西洋史概説Ⅰ
(ローマ~16世紀中)
西洋史概説Ⅱ
(16~20世紀)
西洋史概説
西洋史入門
(歴史とは何か)
西洋史特殊Ⅰ
(古代オリエント史)
西洋史特殊Ⅱ
(近世ヨーロッパの宗教・政治・社会)
西洋史特殊Ⅲ
(近代イギリス国家の成立)
オリエント考古学
(聖書)
西洋史特講Ⅰ
(論文集)

  慶應通信が6科目、日大通信が3科目でした。日大通信は西洋史に関して特定テーマを掘り下げた科目はないようです。

その他の科目を比較する

 最後に日本史、東洋史、西洋史以外の科目を確認します。

(記号の意味 ●=選択自由、空欄=対象科目なし)

慶應通信日大通信
史学概論
世界史概論
(通史)
地理学Ⅰ
(トランスナショナル化)
地理学Ⅱ
(地誌学)
人文地理学
考古学入門
考古学概説
考古学特講Ⅰ
(縄文~弥生)

 慶應通信が5科目、日大通信が4科目です。慶應通信が地理学に偏っているのに対し、日大通信は考古学に集中しています。この点が両大学の大きな違いになっています。

まとめ

  合計で慶應通信は20科目、日大通信は15科目です。 法政通信と比べて慶應通信は史学の専門教育課程が少ないと感じました。けれども日大通信は慶應通信よりもさらに少ないです。そんな日大通信の特徴は「考古学が学べること」、「日本史と西洋史で難解な学術論文をそのままテキストとしていること」が挙げられます。

 なお、私自身は2018年に起きた日本大学の反則タックル問題(アメリカンフットボール)の印象が悪すぎるために日大通信で学ぶことは全く考えていません。

 何かの参考になりましたら幸いです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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