K-45.慶應通信、入学後16ヶ月目(イギリス文学:『カンタベリー物語』)

K.慶応義塾大学 通信教育課程

 慶應義塾大学 通信教育課程(以下、「慶應通信」)卒業を目指し、その学びを書きとめる当ブログ、今回の記事は『カンタベリー物語』にハマった、の書きとめです。

本記事の書きとめは、

  • 『カンタベリ―物語』を読むには?
  • 『カンタベリ―物語』、私の一押しの話
  • 慶應通信、入学後16ヶ月目後半のToDo

の3本です。

 私は慶應通信 文学部 第2類(史学)で学ぶ40代中年オヤジです。平日はサラリーマン、休日はだいたい20年ぶりの大学生、2つの生活を楽しんでいます。

 

『カンタベリ―物語』を読むには?

 2022年の秋期メディア授業「イギリス文学」では、『カンタベリー物語』を通して中世の世界観や文学観を考えます。(講義内容の詳細は慶應通信Webサイト掲載のシラバス(講義要綱)をご覧ください。)

 『カンタベリー物語』は、14世紀後半にイギリスで書かれた作品です。

 長さがマチマチな24の物語が収められています。ざっくりと文庫本で100頁以上ある話もあれば、4~5頁進んで途中で終わる話まで、24ある各話の長さはバラバラです。また、話の内容も恋愛物から笑い話、説教話や聖者の伝説など、色とりどりです。

 24の話は個性豊かな登場人物がそれぞれ順番に1つずつ物語を語りながら進みます。語り手と物語が強くリンクしている話もあれば、(なんでこの人物がこんな話をしているんだ?)という話もあります。

 そんな『カンタベリー物語』について、私が買って読んだ訳本の『カンタベリ物語』(池上忠弘監訳 悠書館 / 2021年)の中では、「中世ヨーロッパ文学の頂点に位置する作品の一つ」(池上監訳、ⅷ頁)とまで表現されています。「イギリス文学」では「なぜ『カンタベリー物語』が高く評価されているのか?」という観点も学びます。

 テキストには「イギリス文学」の担当教員でもいらっしゃる 松田隆美先生 ご自身がお書きになられました『チョーサー カンタベリー物語-ジャンルをめぐる冒険』が指定されていました。

 この本は『カンタベリー物語』に収められた24の物語すべての簡単な解説と、『カンタベリー物語』の著者であるジェフリー・チョーサー(1340頃~1400年)の生涯や『カンタベリー物語』誕生の経緯なども記されています。

 『カンタベリー物語』を実際に読まれて、(もう少し突っこんで知りたいな)と思われた方にはベストチョイスな一冊だと思います。1節1節を読む毎に『カンタベリー物語』の新しい読み方を知ることができるでしょう。

 『チョーサー カンタベリー物語-ジャンルをめぐる冒険』は解説本です。『カンタベリー物語』の本文を読むためには別の本が必要です。2023年1月現在、amazonで簡単に手に入る全訳版は以下の3つです。

  • 1.『完訳 カンタベリー物語』 桝井迪夫訳 全3巻(岩波文庫、1995年)
  • 2.『カンタベリ物語』 西脇順三郎訳 全2巻 (ちくま文庫、1987年) … Kindle版が入手しやすいです
  • 3.『共同新訳版』 池田忠弘監訳 全1巻 (悠書館、2021年)

 私は前述の通り、3.を購入しました。

 複数の話で構成されていることをあらかじめ知っていましたので、頁をあっちこっちめくるだろうと思い、Kindle版より紙の本で入手したいと思いました。また、文庫本より1冊にまとまっていた方が便利かな、とも思い3.を選びました。3.は1.よりも刊行年が30年近く新しいので、(最新の研究成果も盛り込まれているのかな?)とも期待しました。

 3.のネックは価格が7,000円以上と1冊の本としてはやや高いくらいです。1.は3冊分冊ながら、全てそろえても3,000円台で済みます。

 3.を読んだ私の感想としては「買ってよかった」です。十分なボリュームに満足感いっぱいで後悔はありません。装丁がとんでもなく格好よいので書棚の中でひときわ映えているのもポイント高しです(笑) 1000頁以上あるので背表紙の太さもあり、存在感も十分です。

『カンタベリ―物語』、私の一押しの話

 以下『カンタベリー物語』で表現を統一します。また、各話のタイトル部分和訳は前述の松田先生の著作に合わせます。

 『カンタベリー物語』は話題もバラバラなら長さもバラバラです。24の話すべてが面白いとまでは私は感じませんでした。そんな私が面白く感じたトップ3を今回ご紹介します。

 まずは結論から。

  • 1位 … 郷士の話
  • 2位 … 騎士の話
  • 3位 … メリベウスの話

 この順位は「イギリス文学」の講義をまだ聞いていない、3ヵ月前の私の実感を思い出しながらつけました。講義を一通り受けた後、(これはかなり面白い話なのではないか?)と感じた話が他にあり、そちらはまた機会を改めてご紹介しようと考えています。

 では3位から簡単に見て参りましょう。話のネタバレを含みますので続きを読まれる際はご注意ください。

第3位 … 『メリベウスの話』

 許し、をテーマとしたお話です。執念深い私がもっとも苦手とする行いです(笑)

 (私と同じように罪を犯した相手にまったく寛容ではないと思われます)主人公のメリベウスは、自分の家に押し入った上、妻と娘に重傷を負わせた3人の強盗に復讐しようとします。しかし、妻に諭されて夫は…。

 妻は説得する際に多くの教訓を語ります。これが私にはうっとうしく感じられつつも、中世のヨーロッパでどういう価値観が良しとされていたのかが分かったように感じ、面白く読めました。

 とはいえ私は読んだ時にハッピーエンドと解釈していました。しかし、、、「イギリス文学」を通してこの話が含む内容にびっくり仰天しました。

 その内容は『チョーサー カンタベリー物語-ジャンルをめぐる冒険』の115~122頁をぜひご覧ください。

第2位 … 騎士の話

 ロマンス物語です。互いに良き友人であり、そして良きライバルでもある二人の若い男性騎士。二人は同じ戦場で敗れて敵方にとらえられ、そして捕虜となった同じ場所で同じ一人の美しい女性に一目ぼれをするのですが…。

 中世ヨーロッパの騎士道物語と言えばコレ!、といった感がある話です。自分の中にある騎士道のイメージがそのまま物語内に再現されており、想像力を豊かにして物語に没頭できます。

 実はこの話、『カンタベリー物語』を書いたチョーサーとは別の人物であるボッカッチョ(『デカメロン』の作者)版も存在します。『チョーサー カンタベリー物語-ジャンルをめぐる冒険』ではチョーサー版、ボッカッチョ版、2つの物語が比較されており、チョーサーが物語に込めた意図を垣間見ることができます。

第1位 … 郷士の話

 約束、をテーマとしたお話です。騎士の妻が夫の従者に言い寄られて困り、従者に絶対に達成不可能と思われる無理難題を達成したら望みを叶えてあげると約束します。しかし従者はその達成不可能に思われた課題をクリアしてしまい…。

 今回『カンタベリー物語』から私の好きな話トップ3をご紹介しましたけれども、はっきり言ってこの郷士の話が断トツに一番好きです。この物語も私自身が持つ騎士道のイメージがそのまま組み込まれている上、第2位にあげた騎士の話よりも美しく話がまとまります。

 こうして好きな物語を並べた上で、ブログを書きながら各話を振りかえりますと、私自身がいかに「中世ヨーロッパ」という言葉に対し、純朴で、美しく、強い信念をもった騎士道というイメージを投影し、そしてそれに対してとても強いあこがれを持っていることに気がつきます。

 こんな私が『カンタベリー物語』に登場する人物の内で、貴族(騎士)に対してもっとも大きな嫉妬と強烈なあこがれを抱いているように見える郷士が語る物語を一番おもしろいと感じたところにも、チョーサーが『カンタベリー物語』の中に仕込んだ多層性・多様性のようなものが感じられ、一層物語の世界に惹きこまれるのです。

慶應通信、入学後16ヶ月目後半のToDo

 話題を変えて、最後は最近の私の学びの振りかえりと16か月目後半のToDoリストです。

慶應通信15ヶ月目後半~16ヶ月目前半の振りかえり

  • 秋期メディア授業「図書館・情報学」のレポート提出
  • 放送授業「リーディング」、最後の1コマを受講
  • テキスト科目「地理学Ⅰ」のレポート提出
  • 2023年1月の科目試験代替レポートの作成(「放送英語リーディング」、「英語Ⅰ」、「イギリス文学」、「図書館・情報学」の4科目でした)

 年末年始は科目試験代替レポートの準備として英語の勉強をしていました。史学を学ぶために慶應通信に入学したものの、最近は英語の学習が面白く、第3類(文学)の専門科目である「現代英語学」、「英語學概論」、「英語史」あたりも履修してみたいと思い始めています。

慶應通信16ヶ月目、後半のToDo

  • テキスト科目「人文地理学」のレポート作成

 久しぶりにメディア授業・放送授業もなく、テスト期間でもない日々を迎えました。4月の科目試験を一つでも多く受けられます様、テキスト科目のレポート作成に集中です。

 

 卒業までに取得が必要な単位 … 残り78 (入学後に取得した単位は現在「6」です)

 何かの参考になれば幸いです。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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